2022/1/15 思うこと
ニットニットニット
マ・レルラ デザイナーの
阿部真理です。
こちらにおたずねいただき
ありがとうございます。
年末年始に帰省していた高3の娘から、「着なくなったニットない?」と言われ、引っ張り出した久しぶりのニットに目を奪われました。
こんな大変なことよくやっていたなあ、とおどろいたし、全くいたむことなく、古びてもいなかったから、、
それらは、マ・レルラを設立した
27年前の製品でした。
当時は、家庭で編まれる手編みのいわゆる「編み物」を脱却したニット、工場で作られる大量生産されるものでなく、手の温もりがある、、そんなニットを目指していました。
せっかく作るのだから、とにかく素材は絶対よくなきゃ嫌だし、、
と積み上げていって、いくらの上代になるかも考えず、上質のイタリア糸を主に使ってました。
とにかくニットって垢抜けないものじゃない!おしゃれなんだから!と言いたかった、、
そんなこんなで運良くめずらしがってもらえ、TAKASHIMAYAさんが新宿にオープンすると同時にオンリーショップであるマ・レルラのためにかなり広い売場を用意してくださり、三年間頑張りました。
しかし、マイナーな作り方をしたニットをマスの台にのせるには、当時の私は未熟すぎたのだと思います。
いつの間にか、販売する時期が短いニットに代わり、リバティプリントの製品がほとんどになっていきました。
そんな色々なことが、久しぶりに目の前に現れたニットを見て、フッと頭の中を駆け巡った瞬間でした。
なかなかいっぺんに色々なことができない私のキャパが、もう少し拡がったら、リバティプリントの製品と合わせ、また手の込んだニットも一緒に展開できたりするのでしょうか。
そんな昔を知っていてくださる方から、全くニットを作っていないわけではないのですが、「また前みたいなニットしてくださいね。」などと言っていただける機会がどういうわけか多い昨今です。
好みがはっきりしていて妥協しない娘が、意気揚々とそのニットを着て、休みを終え都内の寮へと帰っていく後ろ姿を見送りました。