2020/12/8 BLOG

心のおもむくままに

マ・レルラ デザイナーの
阿部真理です。

こちらにおたずねいただきありがとうございます。

同居していた父方の祖母にとって私は初孫で、とにかく長い時間を一緒に過ごし、たくさんのものを与えてもらいました。

豪快で、惜しみ無く人に与えるのが普通。我が家の祖母が作る夕食は、よく色々な方が、祖母に促され一緒にテーブルを囲みました。

明治の最後の生まれの人で、結婚前に知り合いの都内のお医者様のお宅に行儀見習いに行かされた、という祖母は、かなりハイカラな料理も作れる感性をそこで培われたのかもしれません。

料理がとにかく大好きで、祖母との思い出の数々の背景は台所です。

ピアノが、サプライズで小さかった私の名前で届いたり、成人したときには、その年齢にはびっくりする金額を渡され「一度しか着ない晴れ着なんかやめて、これで世界の好きなところを旅しておいで」と言われて、妹と二人、ヨーロッパ数ヵ国を旅したことは、大切な思い出です。

ケンカもたくさんしました。
きかん坊だった私は、よく物差し(今そんな言い方ないかも)をもった祖母に追いかけられました。

私が二十代のとき、当時の結婚で色々大変なことがあったときも、自分の過去を重ねたのでしょう、「いずれ、自分の人生をしっかり楽しんで生きられるようになる」と励ましてくれました。

私が27歳のとき、他界した祖母ですが、私が台所に立つとき今もよく一緒にいてくれます。「これは水から戻さなきゃね」なんて乾物を戻したり、料理の手順を考えるとき、はっきりとした祖母の声が表情とともに現れるのです。

亡くなってしばらくした頃、祖母の娘である叔母から、一冊の本を紹介されました。
スザンナ・タマーロの
「心のおもむくままに」

シチュエーションは全く違うけど深くうなずきながら読みました。
それから、どれ程の年数がたったのか、ふと昨日、20年以上ぶりに手に取り、時間を忘れ一気に読み
ました。あのときとは違う立場で。

”心の声を聞いてごらん。そして声が聞こえたら、立ちあがって、おまえの心のおもむくままに行くがいい”

(本以外の画像は、同じ祖母を持つ従姉妹のガラス、その兄の陶器です)

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